介護の歴史から思うこと。

時代が変わるのと同時に、私たちの暮らしも暮らし方も変わります。

 

介護はもともと家庭内で家族が行っていました。

戦前も戦後も介護が必要な方々がいて、

いまのように便利な介護用品や機器類はもとより、

安全で安楽で安心でという介護の方法に関する知識や技術もほとんどない中、

唯一、介護が必要な家族を思いやる気持ちで介護をしていたのです。

そうして繰り返し、繰り返し、

日々の暮らしの中で介護をしながら出てきた知恵や工夫を活かして介護をし、

介護をうまく家庭内でするコツを得てきたのではないかと思います。

 

やがて、時代が変わり

人や物、お金、そして人が生活していくうえで必要な衣食住、

また、それらに対する価値観も変わり、

介護は社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が作られ、

介護は家庭内から社会化へと変化し、いまもなお進んでいます。

 

私は介護をしている時に思います。

 

私たちがいま生業として行っている介護は、

自分が生まれる前の時代、家庭内で介護をしていた人たちの勘やコツ、

思いつきやアイディアなどの「知恵」、

そして、ただひたむきに家族をみるという「想い」が活かされているんだと。

 

介護サービスとして介護の社会化が進むにつれて

どこか置き去りにされているように感じてならない「人が人を思いやる気持ち」。

 

介護士としてより良い介護、

地域社会でより良い介護社会づくりを目指す一員として、

いまにつながる介護の歴史があることを忘れずに、

人を見る介護を繋いでいくことを継承していきたいと。